WEAR ME 転変無常 2012 Krakow
czyli o zmienności źycia

The Manggha Museum of Japanese Art and Technology
Muzeum Sztuki i Techniki Japońskiej manggha

会期 :
2012年6月12日(火) - 2012年7月8日(土)
展覧会会場 :
日本美術技術博物館 manggha(クラコフ、ポーランド)
http://manggha.pl/

群馬県前橋市生まれの高畑早苗は、1977年にパリに渡り18歳でパリの画廊でデビューをしました。その後、ニューヨーク、シアトルと活動の場を移した後、1989年の終わりごろから日本に移り住み、国内外で発表を続けています。

ペインティングからスタートした高畑早苗は、2001年から、キャンバスの代わりにドレスの両面にその時々の自分の意識を描いたドレス・シェープの作品「WEAR ME」シリーズを制作しています。初めの24点までは同じ形のレディ・メイドのロングドレスを使い、ドレスの両面にアクリル絵の具でペイントし、その上に色とりどりの、大きさの異なるガラスビーズを幾層にも接着しています。それぞれにカットの違うガラスビーズは、見る角度や外部から差し込む光により、まるで移ろいゆく人間の意識のように瞬時に表情を変えていきます。彼女が2001年から2006年にかけて制作した20点のドレス・シェープ作品は、ドレスと対になるヘッド・ピースとともに、「WEAR ME -無意識の鎧、意識の兜」と題され、2006年7月に京都法然院にある70畳の方丈(障壁画/ 国・重要文化財)で展示され、その後、香港フリンジ・クラブ、OCギャラリー(2008年)に巡廻されました。2008年から、高畑は自分で縫ったドレス・シェープの上に絵を描いています。ドレスの表面からガラスビーズは消え、近年の作品は軽やかな表情を見せています。

この展覧会では、琉球舞踊に魅せられて描いたという「WEAR ME #25 琉球舞踊」や、Manggha美術館のパトロンであるフェリクス・"マンガ"・ヤシェンスキ氏を描いた「WEAR ME #28 鳳凰」など、 2009年から現在までに制作したドレス・シェープ作品「WEAR ME」10点と、新作「転変無常―Life 2010-2012」 (200 cm x 400 cm, キャンバスにアクリル絵の具)他10点の平面作品とともに展示いたします。

日本美術技術博物館 Mangghaについて

日本美術技術博物館mangghaは、ポーランド映画の巨匠アンジェイ・ワイダ氏と舞台芸術や衣装デザインも手掛ける女優のクリスティーナ・ザフバトビッチ夫人が創設した「京都―クラコフ基金」により、19世紀末の美術収集家であるフェリクス・"マンガ"・ヤシェンスキ氏(1861-1929)の日本美術のコレクションを展示する博物館として1994年に開館いたしました。博物館の建築設計は日本を代表する建築家・磯崎新氏の無償の協力によるものです。 フェリクス・"マンガ"・ヤシェンスキ氏のペンネームである"マンガ"は、北斎漫画から由来し、当博物館はヤシェンスキ氏の雅号をとってManggha(マンガ)と名づけられました。ヤシェンスキ氏のコレクションを展示するとともに、日本の伝統美術や現代アートの企画展も行っています。

アーティスト・スティツメント

自然もものごとも愛する人達もそして自分自身も一瞬も留まることなく変化してゆく。それに反して、絵を描くという行為は、いわばキャンバスの中に永遠に生き続ける時間を紡いでいきたいと言う願望であり行為であるのだと私は思う。「転変無常」をテーマにしながら、作品の中に永遠に生き続ける時間を私は追い求めている。

8枚のパネルから成る「転変無常―Life」 (200 cm x 400 cm, キャンバスにアクリル絵の具、2010-2012)は、いのちの連鎖を描いた作品だ。30年来の親しい友達が亡くなったのをきっかけに2010年の3月から私はこの絵を描き始めた。死んだ友人はもうこの世には存在しないけれど、私は彼女の声を心の中で聞き、彼女のいのちを自分のいのちの中に入れて生きている。そしてまた、私のいのちも、私が日々接している子供達や私の絵を見る人々の中に生き続けていくのかもしれない。人はどうしようもなく個なのだけれど、いのちは個ではなく、ひとつらなりの連鎖になり、私たちはつながっている。それが今日まで生きてきた私の身体から滲み出てきた言葉である。

2001年から制作しているドレス・シェープの作品シリーズ「WEAR ME」は、全て即興で描いている。だから、私のその時々の表層意識のポートレイトとも言える。私の核の部分は、家のまん中に立つ柱のようにずっと変わらずにそこに存在するのだが、表層の意識は外界の刺激に反応し留まることなく変化してゆく。

高畑早苗


Photo by: Andrzej Janikowski



転変無常 - Life -
Acrylic on Canvas 200 cm x 400 cm ( 100 cm x 100 cm x 4 panels) 2010 - 2012


WEAR ME #28 "The Phoenix" (front)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #28 "The Phoenix" (back)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #29 "Spring" (front)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #29 "Spring" (back)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #30 "Minami, Okinawa" (front)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #30 "Minami, Okinawa" (back)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #31 "Sanyu, Paris" (front)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012


WEAR ME #31 "Sanyu, Paris" (back)
145 cm x 45 cm Acrylic on cotton, 2012

Photo by: 福原毅